結果:新しい形を見せた完勝 1-0
得点:ダミアン
警告:ダミアン、谷口
退場:無し
遷移:0-1
総評:90点
レビュー
去年苦手とした3バックベースのチーム相手に何をどこまでやれるかと観てみたがダミアンという新しい武器をふんだんに使った多彩な展開を見せてた快勝であった。
ダミアンは高さの武器もあるが、何より強いという部分が戦術の幅を広げたと思う。高いだけならハイボールが選択肢に増えるだけなのだが、強さがあるので相手がマンマークにつこうが二人掛かりで抑えようがボールが入るので今までにないぐらい楽にボールが運べる事が大きい。この試合もキックオフ直後の挨拶がわりの憲剛のハイボールに始まり前半は小林、マギーニョからのハイボールが多かった。試合が進むにつれて徐々に対応する浦和に対して、中盤からの足元への速いボールをバンバン入れる事で高さ対策でダミアンの後ろに構えるCBでは決して取れない展開に。ボールを通さないためにダミアンの横や前に構えると高いボールと完全に主導権を持てた事が有利に進められた要因の一つだろう。
ダミアン効果の影響はこれだけない。中央の相手を複数人引きつけられるので小林、家長という強力な選手達が自由に動く事ができるのだ。小林はワントップで前線に張るより動きながらスペースを作って活かすほうが輝く選手なので特に恩恵を受けていた。これから連携を高めていくととても強力なユニットとなる期待が膨らむコンビネーションだった。
ダミアンと小林が輝いた隠れ要因としてはマギーニョの活躍も触れずにはいられない。浦和の生命線であるサイドの優位性をサイドに立つ事で無力化し続けたのは実にポジショナルな好プレー。無理に縦に仕掛ける事もせず、ただ正しいポジションを取る事で相手のWBとサイドのCBを釘付けにする。この事でダミアンと小林の間には常にスペースが生まれノビノビ攻撃することができた。車屋、馬渡が後半前目に行き過ぎた結果、相手にサイドを使われ押し込まれた事からも如何に効果的だったかがわかる。
マギーニョが静的にスペースを奪ったのに対して守田と大島は動的にスペースを奪ったのは印象的だった。守田の成長は著しく、狭いところでの判断と奪ってからの球離れの良さが際立っていた。誰かの代わりの日本代表ではなくなる日も近いと確信するできだった。
大島も色々な場面に効果的に顔を出しており良かったが、去年と違うのは全員が動的にいくのではなく、静的な活躍をする選手がいるところが渋滞をうまずリスクも回避できた要因だろう。マギーニョと車屋の両SBが高い位置で常に幅をとった事で相手を広げるが、この2人は大きく動かない事で真ん中の動的な選手達にスペースを提供しつつ相手WBにしっかりつくことができ、やりたい事をやらせなかった。
と、絶賛の内容ではあるがコンディションを整えた川崎と調整中の浦和の戦いだったので去年の仕上げたセレッソと調整中の川崎みたいなもので、そこまでの差はないと思う。特に浦和はワンボランチに新外国人を試している最中でより攻めやすかったのも事実。後半阿部に変わってから引いているだけでなく前目に仕掛けてきた事からもあくまでもプレシーズンマッチとして戦っているのが良くわかる内容であった。
しかし、結果は結果。ついにカップ戦の覇者という称号を得た。今まではカップ戦では入れ込みすぎて序盤にミスから失点し、慌てて自滅が多かったが連覇した事で自信を深めたのが立ち上がりの良さに繋がっていると思うのでこれは大きい。ここ一番の勝負弱さが目立っていたがこういう成功体験が次に繋がる。
気がかりは仕上がりが早い事。連覇中は9月以降にピークが来るように調整する事でラストスパートで差し切ってきたが、この時期にこの仕上がりで大丈夫なのか。鬼木監督の新しい挑戦に期待したい。
ピックアップ
ダミアン
フロンターレが長い間探していた「大型」「生粋のストライカー」な背番号9。ここ10年ぐらいロマン枠となっていたが、ついにピースを見つけた気がする。日本代表クラスではハマらなかったがブラジル代表クラスでようやくという、求めるものがハイレベルすぎた説があるが、だからこそ4冠に向けて大暴れして欲しい。守備得意じゃないのに気持ちでプレスに行く姿や、選手交代の時に拍手したり自分のミスの時に謝ったりと人の良さも存分に見せてくれたので1試合で惚れた。
マギーニョ
「真面目」というのがマギーニョのプレーをみた感想。先任のエウソンの代わりという高いハードルに対して、自分を見せるプレーをしたくなるところを監督の指示通り「場所を守る」という優先順位を最後まで守り抜いたのは立派。おかげで小林が最後までノビノビ攻撃に参加することができた。個性の部分はこれからのお楽しみという事で。
齋藤学
今年期待の齋藤学。能力は疑いの余地がないのだけど、学が活躍するかは正直鬼木監督の成長が必要だと思っている。はっきりいって攻守一体の今のスタイルでは守備の強度が低い選手はスペースを必要とする選手を入れる場所がない。その結果ドリブラーが活躍する場面が限定されてしまう。長谷川は運ぶドリブルに活路を見出しているが、学はどうみてもフィニッシャー型だ。しかし、フィニッシャーにふさわしい状況でプレーする機会がほとんどない。ここの部分をどうするかは学の努力も必要だが、システム的な柔軟性を出す方が重要だと思う。この試合でも運ぶドリブルはあったが、決定的な仕事はできず。だが、去年と違い静的にスペースを作る選手がいる事でスペースが生まれたのは活躍の土台として良いと思う。あと1回だけあったCBからのロングフィード。正直これが学が生きる道だと思っている展開。かつては憲剛ジュニーニョのホットラインがあったが、現在のサッカーではCBからFWへのフィードがホットラインになると思う。それぐらい縦への展開の速さが求められている。谷口はもちろん車屋も奈良も出せるので、戦術の幅を広げる意味でも活躍を期待している。
プレビュー
昨年シーズンダブルを食らった相手に対してどういう戦いをみせるか。去年は2戦とも攻撃が全くできずに完敗。そんな浦和は大型補強を敢行。各ポジションに代表クラスを補強し、監督も継続という事で大きな穴は見当たらず。
一方の川崎。基本的な戦力はいるが最大の課題はエウソンのいない右サイドバック。ここは新選手である馬渡、マギーニョというある意味計算できない選手の起用になる。昨年までだと右サイドは前に自由人家長がいる事で後ろの選手はより難しいタスクをこなす事になるが、果たしてどうするのか。個人的には序盤は守田を右サイドバックで起用するかと思ったが怪我をした事で無理はさせないかも。
明るい材料といえば去年全く攻めれなかった相手なので新しい武器であるダミアンと山村という高さとパワーを使った攻撃を試す絶好の機会とも言える。完成度の高さでは上回っているので、きっちり勝ってカップ戦の覇者となりたい。立ち上がりは気をつけて。
参考:
【サッカー】Frontale 2019年展望
【サッカー】リーグ12節 vs 浦和レッズ 2018/05/02 等々力陸上競技場
【サッカー】リーグ19節 vs 浦和レッズ 2018/08/01 埼玉スタジアム2002
【サッカー】FUJI XEROX SUPER CUP vs セレッソ大阪 2018/02/10
「【サッカー】FUJI XEROX SUPER CUP vs 浦和レッズ 2019/02/16 埼玉スタジアム」への1件のフィードバック