結果:勝ちを逃した引き分け 1-1
得点:中村
警告:大島
退場:無し
遷移:1-0 -> 1-1
勝点:1 -> 2 (気持ち勝点 1->4)
評価:70点
3/1(金)
— 川崎フロンターレ (@frontale_staff) 2019年3月1日
明治安田生命J1リーグ 第2節
川崎フロンターレ vs 鹿島アントラーズ
19:03キックオフ 等々力陸上競技場
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レビュー
いつも通りの4-2-3-1の川崎と4-4-1-1の鹿島の一戦。マギーニョベンチ外で馬渡をスタメンにベンチに山村を置く。鹿島の攻撃は「しっかり守る」「サイドに展開してボールを前に」「アーリー気味のクロスにCFがしっかり合わせる」といういつも通りのスタイル。守備の面では中央をしっかり守るために真ん中よりの配置。特に4-4のブロックをコンパクトにして、ある程度サイドはやられても最後はCBで勝つからいいよという形だった。
川崎の攻撃は馬渡と車屋が幅を取り主導権を握るがエリア内の崩しは去年に引き続き相変わらずのアイデア不足。というかサイド突破からのセンタリングはクロッサーと相手DFと味方FWが横一直の配置でクロスを上げるので、当たり前だけどピンポイントじゃない限り守られてしまう。鹿島が角度をつけるクロスで効果的に川崎ゴールを脅かしていたのと対照的である。攻撃の部分は今年の注目部分であるが、去年から引き続き深さを使った攻撃であるマイナスクロスを使えないうちは苦しみ続けることになると思う。具体的には相手CBの裏とGKの横のスペースへの侵入からの崩しであるが、後半から意図的に狙ったもののそこは鹿島の死守ポイントなのでほぼ入らせてもらえなかった。後半途中から後ろへの怖さを感じなかった鹿島が勇気を持って前に出はじめて鹿島の時間になったのもこの影響なので、今シーズンは克服したい。サイドの攻防は沈黙の左サイドと息切れした右サイドという感じ。馬渡よく走った。左サイドは内田の勝ち。けど本質はそこではなく、最後の崩しだと思っているのであまり気にはしていない。
川崎の守備で興味深かったのは守備が上手くないダミアンが単身走っていく ”効果的でない” プレーをさせなかった所。一生懸命走るのでスタジアムは沸くが、実際はコースを限定するわけでもないので組織的に前から嵌めていた守備が乱れるだけで、むしろ守備力の低下を生んでいる。前節で足元の上手い森重に突っ込んで行ってあっさりかわされいいロングボールを蹴られたのが分かりやすいシーンだろうか。ああいう足元の上手い選手に突っ込んでいくのは効果的でなく、ロングボールを蹴らせない守備を選択すべきだがダミアンはまだそれができない。そこで今節は最前線のプレスは憲剛か小林が担当し、コースを切ってプレーを限定するにはこのタイミングでここに圧力かけるんだよ、というのを教えていたように見えた。結果、鹿島はボールを運ぶのに苦労することになったが、失点シーンが「ダミアンの縦を消さない守備に対してきっちり綺麗な縦パスを放り込む内田」という防ぎたかった形だったのは不幸。鹿島の攻撃の形なのでそこはしっかり意識して欲しかった。実際はベストなプレーを出されたのでどうしようもない場面ではあったけど、やられないように狙っていただけに悔しいワンプレーだった。
結果は同点だったが憲剛のゴラッソFKであり流れからは無得点。後半勝ちに行く采配を見せただけに勝点3が欲しい試合であった。負けてないというのはポジティブに捉えたい引き分けではあるが、勝点2を失った気持ちも大きい。
ピックアップ
・鬼木監督の采配
前節でも書いたがこの時期は90分で考えるんじゃなくて今年はACLを含めた50試合のうちの一つという考えで采配をみていたが、鬼木監督にしては試される試合展開となってしまった。馬渡は思った通りの活躍をしてくれたが攻撃のキーマンである家長のいる左サイドが全く機能しない。今年はダミアンをワントップにするために右で活躍した家長を左に持って行ったが個人でも車屋との連携でも輝かず、途中から小林と配置を変える策に出ている。活躍できないダミアンを粘り強く使っていたが、69分に阿部と交代。正直「阿部を入れる=ダミアンを諦める=勝ちに行く」と思っていたので攻撃的に行くのかと思ったが車屋とのコンビでは攻撃に集中できず。両サイドがリスク管理より攻撃を選択した結果、酷いカウンターをくらい相手ペースに。結果両サイドバックを知念、ノボリに交代。守田をサイドバックに落とす、現状の「一番戦術理解度の高い、押し込める編成」で猛攻しかけるも85分からではさすがに時間足らず。鬼木監督の葛藤を感じる采配だった。個人的には69分のタイミングでノボリも同時投入すると思っていただけに少し迷いを感じた采配だった。
・家長とダミアンと小林の関係性
ダミアンが輝かない。理由は連携と前節では書いたが、もう少し具体的にいうとダミアンのスペースが足りない問題と言えるだろう。当たり前であるがスペースがなければプレーできない。ダミアン自身はスペースメイクがうまいと思うが、両翼がそのスペースを自分のものにしようと中に入ってきてしまうのでダミアンは残念ながら自分の強みの出せる場所でプレーができず、窮屈な印象を受ける。両サイドバックが幅をとり、両サイドハーフは深さを使う事をもう少し突き詰める形になるとダミアン得点量産の予感はする。小林はエリア内での仕事も外の仕事も積極的にこなしていたが家長はエリア外に終始していたので、意識改革が必要か。ここのバランスをどうとっていくのかは見ていて面白そう。
・車屋 紳太郎
昨シーズンに引き続き戦術理解度が上がっていなそうな車屋だが、流石に無視できなくなってきた。キャンプ始まりにインフルエンザになった影響でコンディションが上がっていないのかもしれないが、プレーの選択が酷い。中央を固める鹿島に対して、内田土井コンビに縦を封じられると中途半端な中へのパスを選択肢カットされるも、自分は戻ることなく前に進むので後半は特に逆カウンター製造機と化していた。
1対1の守備は計算できるが、攻撃の部分と攻守の判断の部分が成長見られないと「上がらないで幅と守備を固めてたまにロングボールでゲームを作る人」というタスクに変えたくなる。何故ならこのタスクなら上手くできるから。ただ鬼木監督の前からはめるサッカーには合わないので割り切ったサッカーをするときに使われる選手になる可能性はある。
昨年が谷口、大島、憲剛、阿部とチームでも屈指の戦術理解度の高いメンバーの近くで試合を重ね、たくさんのアドバイスを受けたのに全く成長を感じられないのは厳しい気もする。去年ノボリにスタメンを奪われたのは完全にこの部分だし。年々戦術が深まっていく監督の描くサッカーを体現することがだんだん厳しくなっている印象。今年は前に”組織なんか知らんがな”の家長ということで、より難しい判断が求められることになるが、果たして車屋個人としてチーム全体として左サイドがどう育っていくのか注目したい。
・馬渡 和彰
前半から前後によく動き、幅をとる役割もキッチリこなしていた。要所要所で攻撃性も見せ「自分はこういう選手です」という名刺を見せることに成功。スプリントも両チームダントツの39本ということで後半は疲れてしまったが、期待のできる選手であることは間違いない。足元の技術はまだまだ川崎レベルではないが、慣れてくれば大きな戦力になってくれそうな予感。後半から大島のパスが馬渡に取りやすい優しいパスになったのは大島の気遣いだろうか。走る馬渡の前に出すのではく、足元よりに出すことで止めることはやりやすくなったが、結果縦への推進力が減ってしまったので諸刃の剣だったが。
・小林 悠
この時期とは思えないぐらいコンディションが良いキャプテン。ACLに賭ける気持ちを存分に感じられるできである。右からも左からもエリア内外でも積極的にゴールを狙い、枠に飛ばしているのはさすが。決定力という見方もあるが、本来、小林以外の大島、守田、家長あたりがミドルを打って相手のCBを前に釣り出すようなプレーも小林が一手に引き受けている現状なので攻めるのは酷かなと。普通にフィニッシャーの仕事をさせてあげれば決めると思う。
・鹿島の攻撃の強さ
昔から不思議だった鹿島の攻撃の強さ。攻撃は上記の通り非常にシンプルなものだがどこも長い間対応できないので常にタイトルを取り続けている。この部分でセルジーニョが谷口、車屋をものともしなかったのはあるが、人数が少ない状況でもシュートに持ち込む戦術が染み込んでいると感じた。
1. 人と人の間に複数の人数を飛び込ませる
CBとCB、CBとSBの間にボールを蹴り込みDFの判断を迷わせるのは定石だが、そこに同じ場所に複数人飛び込むことでより混乱を生み、数的不利な状況でもシュートまで持っていく仕掛け
2. クロスは必ず角度をつけてFWとCBの個人の駆け引きに持っていく
止まった状態では数的不利を覆すのは難しいが動きながらであれば、個人戦に持っていける。鹿島のクロスはDFがマークマンとボールを同時に見るのが難しい場所に蹴るので、一瞬ボールかマークマンのどちらかから目を離さなければならくなり、その駆け引きに勝てば数的不利でもシュートまで持っていける仕掛け。
印象的だったのはこの2つの仕掛け。人数だけ見ると4 vs 6とか6 vs 8とかで川崎のほうが二人以上多い場面でも怖いシーンが生まれるのはこういう仕掛けをたくさん持っているからだろう。これにビビって上がれなくなると完全に鹿島ペースになるという深い罠にもなっている。
数的不利でもパスを回す練習をする川崎と数的不利でもシュートまで行く練習をする鹿島の違いがカップ戦はでの強さに繋がっているのかな。鹿島の考え方の違いだと割り切って守ってても点を取るチャンスがあるが、川崎割り切って守ると勝点1を取る試合しか出来ない。
ライブ
15分
サイドを起点にしたい鹿島だが川崎のバランスが良くボールが繋げないし、奪えない。馬渡のパスの角度と選択が効果的。小林が攻守に効いてる。そして憲剛のゴラッソ。流れ関係なくサイドから崩す得意の形を見せられてはいるが良い立ち上がり。 #frontale
30分
効果的な右サイドに比べ安定感に欠ける左サイド。左サイドでダミアンのコースを切らないプレスから縦に出されて失点。家長右サイドに流れて右サイド活性化するもダミアンの居場所無い。ミドルが効きそうな展開なので大島に積極性が欲しい。 #frontale
45分
小林と家長のサイド交換で安定感をもたらす。ダミアンの為に憲剛が右サイドに流れてスペースメイク。車屋は守備は良いが上がるとリスク。コンディション上がってきた大島の展開にダミアンがついていけてない。ポイントポイントできっちり形作られてるのが気になる。 #frontale
60分
後半から鹿島の距離感で試合をさせられてボールが繋げなくなる。ダミアンが完全に動けなくなってる。このまま残りを戦うのは厳しいが、鬼さんの采配が試される時間。耐えるか。変えるか。車屋が上がった後のピンチ多過ぎ。何気に谷口が危うい。落ち着いて。 #frontale
75分
プレビュー
上手くいかなかった前節からマギーニョに代えて馬渡スタメン。マギーニョはベンチ外。代わりに山村がベンチ入り。右サイドの控えが居なそうだけど守田と田中で上手く回すプランかな?4-2-3-1で行くんだろうけど、公式の書き方だと4-4-2にも見える(たぶん4-2-3-1だけど)。前回の反省点である幅を使う事とダミアンの活かし方をどう改善しているか。実は問題だった奥の使い方もダミアン活用次第なところもあるので見所だろう。一方鹿島は主力が軒並み怪我で離脱。チームの転換期に厳しい状況にみえる。しかし、自分の形を持っている強さがあるので一発で黙らせられる可能性ある。去年チームを救ったセルジーニョをどう抑えるか前回不調のCB陣に期待したい。このメンバー相手には勝点3が求められる。
チェックポイント
- サイドの優先権をとれるか
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- 序盤は互角もリスク管理能力の違いで徐々に鹿島に持ってかれた
- 幅を使ってスペースを作れるか
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- 序盤は意識できていたが徐々に幅より高さに意識が・・・
- CBは安心を供給できるか
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- 前節よりは良かったがたまに不安を感じるプレーも・・・
- ダミアンと小林のコンビネーション
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- ダミアンと小林の問題だけでなく気ままに振る舞う家長とのスペース奪い合いに発展
参考:
【サッカー】リーグ1節 vs FV東京 2019/02/23 等々力陸上競技場