言いたい事を感情的にまとめると以下のようになる。
総統閣下はハリルホジッチ監督解任にお怒りのようです。 pic.twitter.com/mJiuYuaPco
— Río🇯🇵🇪🇸 (@rio_cule) 2018年4月10日
言いたい事を箇条書きにまとめると以下のようになる。 ハリルホジッチ解任でサッカークラスタが発狂している理由 サッカー協会会長の発言を解読してみた【NHK生出演】 感情的な話は別の方々がまとめてくれたので今回の事で日本に起きた事、起こる事、失ったものなどを書いてみようと思う。
・ハリルホジッチ監督解任によって失ったもの
W杯の指揮をとる。これはサッカーの監督をする上でこの上ない栄誉であり、憧れである。当然、自分のキャリアとしてとても大きなポイントとなり、今後のプロ監督生活に大きく影響する。ハリルホジッチ氏は監督解任などでゴタゴタした中、今までのつなぐサッカーでは勝てないので、今までとは違うアプローチに着手した。それが、デュエルであり、縦に速いサッカーである。ただ、デュエルは戦術というより世界で戦うための基本性能の話で、縦に速いサッカーというのは監督本人が目指した最終形ではなく、ボールを奪ってシュートに行くまでの時間を短くする事を目指した言葉である。そういった今までにない意識を持たせつつワールドカップ出場を決めた監督が、「選手とのコミュニケーションの問題」で解任された。これが示すことは何か。海外の有力な監督は日本を信頼しなくなったという事だ。
もう一つ重要な点は振り返りができなくなった事。長期間かけて作ったサッカーが果たしてどうなのか?結果は関係なく、振り返ることはできなくなったのだ。この結果生まれるのは、根拠のない次の監督探しである。何が足りなかったか、何が良かったか、もう何もわからない。無駄な4年間になってしまった。
・日本代表を強くする為の難題
・アジアでは引いた相手を崩す強者のサッカー、欧米とは守りを固める弱者のサッカーが求められる
・どの試合でも内容ではなく結果と感動を求められる
・場所的に世界的な強豪国と戦う機会が少ない
・強豪国と戦う事が少ないので世界的な戦術と戦う機会が無く経験が詰めない
・とはいえアジア王者に確実になれるほど、抜けた強さを持っていない
・Jリーグのシーズンと欧米のシーズンの違いにより、代表戦における選手のコンディションが整わない
・マスコミ含め国としてサッカーを見る目が養われていない
・母国から離れたところで仕事をすることになる(サッカー辺境の地)
簡単にあげてもこのぐらいはある。W杯で勝つチームを作る為にかなり厳しい状況であることが分かる。この状況で強くするには長期的に戦術やコンディションを仕込んで行く必要があるが、日本サッカー協会とはそういう仕事をすることは難しいと思われて当然のことをしてしまった。信頼を失うのは簡単だが信頼を得るのは難しい。長く険しい道のりが始まってしまった。
・日本の目指すもの:JFA2005年宣言
「2050年までにFIFAワールドカップを日本で開催し、日本代表チームはその大会の優勝チームとなる」
これは2005年にJFAが掲げた目標である。2018年の大会を上記のとおり無駄に過ごしたのであと32年=8大会で優勝するという目標。何をどうするかを考えなければならないが、一番気になっているのは「日本らしいサッカー」という言葉である。
「日本らしいサッカー=つなぐサッカー」な流れを感じる昨今ではあるが、この根拠はフィジカルが弱いから瞬発力とかパワーとかではなく組織力で勝負というアプローチだと思う。だが、考えてみて欲しい、今後も日本代表が今まで同じ純日本人的特徴を持った人材だけなのかということに。少子高齢化が進む中で移民がはじまる可能は高いし、何よりすでに他の競技では外国の血が混ざったハーフの日本人が大活躍を始めている。サッカーでも見かけ始めている。そんな中、フィジカルがどうとかという理由で「日本らしいサッカー」を定義するのは正しいのだろうか。個人的な答えは「日本の文化にあったサッカー」こそが日本らしいサッカーだと思う。他国のリーグや代表をみても国民性が現れていることが多い。
国 | 重視 | スタイル |
スペイン | エンターテイメント | 情熱の国らしく華やかで攻撃的 |
ドイツ | 合理的 | 工業国らしくデータを基にした効率的で合理的 |
イタリア | 戦術の美しさ | 芸術の国らしく美しい戦術を好む。カテナチオは守備の国だからでなく守備の戦術が美しかったから賞賛された |
イングランド | 肉弾戦 | ラグビー発祥の地らしく肉弾戦を好む。最後まで激しく戦うことが好まれる |
このように肉体がどうとかではなく、国民が好みのサッカーをするのが代表のサッカーである。イングランドは長らく4-4-2を使っていたが最近は近代的な戦術を多数取り込むようになった。しかし、それでも国民の目は1対1の激しいぶつかり合いに注目している。
日本の目指すスタイルは上記で言うならば工業国と日本教育からしてドイツ式を目指すのが良いだろう。ただ、ここでも問題になるのがハリル解任で起きた、一部選手との関係から監督が解任されたという事実が暗い影を落とす。ガバメントがないことが明らかになった以上、正直合理的なことができる環境にないことを示してしまった。今後どうしていくのはわからないが、効率も合理も統治がない場所ではなにも起きない。まずはこの負債を返していくことが求められる。
・W杯に向けた4年計画
正直なところ、4年計画では何も変わらないと思う。本気で2050年に優勝を目指すのであれば、今からの12年間は投資に回った方が良いと思う。下部から日本サッカーを底上げし、様々な個性を揃え、その間に監督育成に力を注ぐ。そういう覚悟を持って長期計画を持たないと何も変わらない。だが、組織としてザックジャパンの振り返りをした結果が今大会だったとすると、振り返りをしたとはとても思えず、やはり協会の力不足が深刻なのが1番の問題といえるだろう。
・監督と選手、そしてスポンサー
今回の解任劇でスポンサージャパンとか忖度ジャパンとか色々聞くようになった。前々からそういう空気はあったが、今回の件で人気選手>監督という図式が明確になったのはよく議論すべきことだろう。特にザックジャパンの時からザッケローニ監督がやろうとしたサッカーを無視して「自分たちのサッカー」を盛大に散った選手たちが、その思いを晴らす為だけに今回の解任劇に繋がったことはもっと真剣に考えるべき。日本代表とはなんなのか。